難病患者等ホームヘルパー養成研修に参加しました。

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1月23日、茨城県市町村会館にて難病患者等ホームヘルパー養成研修に参加しました。
(茨城県・社団法人茨城県看護協会主催)

短時間ではありましたが、有意義な研修となりました。

その中で、日本ALS協会 茨城県支部 海野幸太郎様の講義に特に感銘を受けました。

「私達、専門職は、頭では利用者様本位、権利主体は利用者様とわかっていながらも、無意識、潜在的に自分に権利主体を置いていることがある」と考えさせられる部分がありました。

事業者やケアマネージャーの話を聞いていて、いろいろなグレーゾーンの質問や相談を受けます。
もちろん、こちらからも相談したりします。
このときの話し合いする時の姿勢、考え方の方向性がどうしても納得いかないという方がいます。
(もちろん、私の意見も正しいとは思いませんが)

行政は、例えば「このサービスを利用するという事は、この行為ができないから使うのであって、この行為ができる場合は必要ではない。」

確かにそういう部分で適応できる場面が無いわけではありません。
しかし、基本スタンスがこの方向性で考えられると、介護保険制度って何?という事になってしまう気がします。
ちなみに介護保険法第2条2には、「保険給付は、要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに医療との連携に十分配慮して行われなければならない」とあります。
全てこの行政の例に挙げたスタンスで説明してしまうと、この条文についてはどのように説明するのでしょう?

介護保険だけでなく、福祉の基本理念は利用者に権利主体がなければならないと誰でも答えると思います。
行政の立場や、地域の経済状況、制度の財源問題など諸事情は山積みですが、これを理由に主体が利用者以外になることは防がなければなりません。そういった諸事情と、利用者のニーズ、それを解決する手段の問題は、別次元の話です。ここを一緒にしてしまうからおかしい事になるんだと思うのです。
障害福祉サービスでも同じ事です。国庫負担基準をサービスの上限として考える悪質な保険者が、未だ多いですが、これはあくまで基準の目安であって、個々の生活ニーズに合わせた自活生活が営めるような支給をすべきなんです。財政などを理由に利用者が被害を被ることはあってはならないと思います。厚生労働省もこれと同様の通達を出しているはずなのですが…(平成19年4月13日事務連絡 障害者自立支援法に基づく支給決定事務に係る留意事項について 参照)

また、利用者主体といっても、単なるわがまま、というケースもあるでしょう。それは、利用者様やそのご家族も、きちんと制度を理解して頂く努力をする必要があることもありますが、そこを見極める事が専門職のすべきことであります。

ケアマネージャーは、中立な立場であるべきで、それは利用者と事業者だけでなく、利用者と行政においてもいえることではないでしょうか?
行政の意見や、制度を取り巻く経済状況は、知っておく必要がありますが、それがプランに響くことは避けるべきです。あくまで個々のケースにおいて判断されるべき事であり、制度の限界をきちんと指し示せば良いと思います。

ICF(国際生活機能分類)について、専門職の方々は勉強されていると思います。
誰の為のプランなのか?
プランを立てた者が自己満足で終わっているプランはありませんか?
専門用語を列挙し、これってどういう意味?と聞かれ、私達もわからない言葉をたくさん利用されている方もいます。(医療用語や略語)
プランを作ることを意識するあまり、利用者像がみえてこないというケースもあります。
ケアマネージャー様にお願いです。

利用者と向き合って話してあげてください。そして利用者様を本当の意味で主体としてとらえてあげて下さい。
介護保険法第1条にもあるように、尊厳を保持できるようにしてあげてください。
そして、関わる皆さんの自らの価値観・先入観で、利用者を判断したり、サービスを決定したりしないで下さい。

このように書いている私もきっと無意識の内に、利用者様やご家族以外に主体を移していることもあるでしょう。私も反省したいと思います。そして、福祉に携わる私達の共通理念としてこれが当たり前になる日が来るよう、お互いに頑張っていければと思います。

これらは、先日の研修の海野様の話を聞いて、私自身がいろいろと考察したものですので、決して海野様が、このような話をしたわけではありません。ALSという障害を支えるご家族の意見として、権利の主体はどこにあるのかという貴重なお話をして頂きました。

最後に、海野様へ貴重なお話を頂きありがとうございました。いろいろと勉強させて頂きました。

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