水戸市介護保険課からの通知(H.25.3.5)

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水戸市介護保険課から通知が届きました。

H.25.3.5水戸市介護保険課通知 平成25年4月1日より適用とのこと。

概要は、
認定調査項目の調査結果が次の1から3のいずれかに該当し、院内介助の必要性が認められる記録を備えた場合、介助を要する院内待ち時間について、介護報酬としての請求を認める。

1.調査項目「1-5 座位保持」が「できない」

2.調査項目「3-8 徘徊」が「ある」

3.調査項目「4-9 1人で外に出たがり目が離せない」が「ある」

これ以外の例外は、平成25年3月8日現在では一切認めませんとのこと!(水戸市介護保険課給付係に電話で確認済み)

今回は、身体介護の中でも、院内の待ち時間についてどうするか?というところ。

現状は、単なる待ち時間は算定除外とされています。

ただ、「単なる待ち時間」の解釈の幅はとても広く、多種多様なわけで、いわゆる身体介護の1-6(自立支援のための見守り的援助※平成12年3月17日老計第10号厚生労働省通知)との区別が曖昧になっていて、身体介護1-6を算定するにあたって、およそこの通知別紙にある1から3の認定調査項目に該当することがひとつの目安になることがわかります。

でも、この通知に該当しなくても身体介護1-6については算定可能です。この通知を受けて、ぎょっとした人は、ご注意くださいね。

今回は、いつもなら算定除外とされていた待ち時間の部分についてのお話なのです。今までもこれからも原則待ち時間の算定は身体介護でできないのですが、通知別紙の1から3のいずれかに該当すれば、待ち時間の算定も認めますよということなので、今までこれだけ大変なケースなのに、待ち時間ってだけで算定されないのは理不尽すぎる!!!と思っていた方にとっては、とても朗報なのです。

ですから、この通知が来て、通知別紙の条件を満たさないから、「すぐに通院等乗降介助に切り替えなくては!」や、「院内は全て自費で対応するしかない!」と勘違いをされている人がこの数日の反応を見て多いと感じますが、それは違います。

院内の介助が必要かどうか、送迎だけでよいかどうかという部分は、今回の通知は全く関係ありません。逆にこの通知がきて、院内付添のケアプランを送迎だけに切り替えられるのなら、今までのプランが一体なんだったのか?ということになるわけです。

ですから、「身体介護」か「通院等乗降介助」かということではなく、あくまで「身体介護」算定が必要な方で、今まで理不尽に取り扱われていた手間のかかる院内待ち時間が安全に、適正に算定できるようになったということです。これは、他の市町村でもあまりみられない画期的な取り組みであると評価したいと思います。また、認定調査項目に焦点を当てた事も、とても良い部分です。なるべく、公平性を担保しようとしている水戸市の苦労がうかがえます。(逆に言うと、認定調査の質の向上、質の確保も求められている。認定調査の方法、調査員による情報収集能力の差は、介護業界に携わる人であれば感じているはずです)

でも、現場から言わせてもらうと、単なる待ち時間なんて、存在しないんですよ。

声掛けでも、見守りでも、利用者はそこにヘルパーの必要性を求めているわけで、実際に移動した時間だけ、トイレに行った時間だけ、算定可能という論理は、一般企業の他職種で言うと、「出勤してから退勤するまで、生産性のある動作については給料を支払いますが、それ以外は支払いません」。ということと同じです。

例えば、小売業であれば、商品販売しているとき、接客している時間だけ、給料は支払うけど、それ以外は支払わないよということ。運転業務なら、お客さんをのせている時間は給料支払うけど、それ以外は支払わないよ、ということ。

でも、そんなことなら、みんな働くのが嫌になるでしょう?小売業なら商品販売していないときは、店舗の掃除をしたり、商品陳列したり、袋の中に折り込みチラシを入れたり、いろいろと行っているはずです。運転業務なら、移動時間や、洗車などあるでしょう。院内付添だって、声掛けの中には表情や状態の観察、不安の軽減、待ち時間の長さからくるストレス軽減など、いろいろあるんです。

利用者の横で、いびきをかきながら眠っているヘルパーなんて、いないんです!

労働基準法だって、訪問介護員の移動時間にも賃金は発生すると言っているわけで、賃金は発生するけど、報酬は発生しないって、そもそもの報酬設定が破たんしてるんですよ。

あと、今さらですが、院内の対応は院内スタッフが対応するという机上の空論をなんとかしてもらえないかなー(`・ω・´)

外来看護において、私は看護学校で、「医師が説明した事を、看護師は患者が理解できているか確認し、理解できていない時は、理解できるように補足説明し、理解していただけるように努める。」と習いました。水戸市のとある病院は、「このおじいちゃんは、耳が遠いから、説明が大変。ヘルパー同行させて!」なんていう始末。。。耳が遠いなら、筆談でもできるでしょう?診察室内は、医療保険対象だから、介護保険の算定はできなんですよ。だけど、実際は、医療側の怠慢により、介護スタッフが国にただ働きを強制されている現状をみなさんは知っていますか?

こういう通知を出す時に、なぜ、行政は医療側にも出さないのか?

ルサンチマンかもしれないが、介護事業所(特に訪問介護、特に民間。)には、言いやすいが、病院には恐れ多くて言えませんとしか、受け取れない。

そもそもなぜ、訪問介護のグレーゾーンが多いのか?その根底にあるのは、政治の怠慢です。

市政できちんと、産業インフラ、交通インフラを地域性に合わせて行っていないから、制度の枠外の要求を利用者は、身近のホームヘルパーに呼び掛けるのです。そして、その現場で人間関係を良好に保ちながらも、利用者の要求を断ることの大変さをわかってほしい。好きでグレーゾーンに顔を突っ込んでいるわけではないんですよ。

通知の後半にこんな一節があります。

「不正行為・不正請求を行わない行わせない組織作り」

この言葉は、われわれ介護事業所だけではなく、通知を出した水戸市にも自分のこととして、取り組んでもらいたいと切に願います。

と言い出したらきりがありませんが、今回の通知は、あくまで身体介護算定が必要な方の待ち時間についてだけ説明しているので、気をつけましょう。

でも、この通知を受けて、冒頭に触れましたが、院内付き添いを必要とする利用者像はつくりやすくなりますね。元々、いい加減にプラン作成しているところは、早い段階で、きちんと説明に伺って、プラン変更された方がいいでしょう。

待ち時間だろうがなんだろうが、かかった時間をそのまんま算定している事業所も、今回はきちんと考え直した方がいいでしょう。

私達も、今まで全てのサービスに根拠と責任を持って算定してきました。今回の通知を受けて、算定の仕方が楽になった部分もありますが、依頼を受ける段階での院内付添の必要性をケアプランだけを根拠にすることはできないので、事業所としてのきちんとしたアセスメントの徹底をしていこうと、改めて反省し、今後も適正な介護保険事業運営に努めていこうと思います。

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