春さらば…

株式会社ゆりかご ホームヘルプ 介護保険制度 その他

皆さん、3/25にテレビ東京系列で放送された春さらば…ご覧になりましたか?

シングルマザーの訪問介護員が、利用者さんと関わりながら、子供のため、生活のためと、なんと、お金を騙し取り、最終的には、訪問介護員が逆に騙した利用者さんに騙されて、最後、自分の行ったことへの深い後悔をみせ、反省し、お金を返して、本当に介護職としての誇りを持って、力強く生きていく…

端的に言ってしまうとこんな感じの内容。
文章にすると、とんでもないドラマに見えますね…。

見る人によっては、怖い見方をされると危惧する部分はありますが、シナリオは非現実的でも、そこに描かれている背景は、現在の社会、制度の問題など非常にシビアな部分。
これを見て、私も介護職をやってみよう…と思う方は少ないでしょうが、介護職以外の方に見ていただくと、介護従事者の働いている環境、背景はわかっていただける内容だと思います。

介護を仕事として生きていく大変さ。

利用者さんと援助者との距離感。

現代社会の家族、親戚関係の希薄化。

介護従事者の倫理性。

要素で見ると、介護従事者の方たちでも、学ぶべきところもあると思います。
残念ながら、こんなことあり得ない!と思いつつも、今まで報道などで利用者の預金使い込み、窃盗などは過去にあった事実です。

介護保険施行から10年目。

超高齢社会化する日本の、世界に誇る理想的な制度として発足した介護保険。
とにかく制度を成り立たせるため、量を追い求め、そして、量の確保ができたら、当然、質を目指す。質を向上していくにあたり、自然淘汰がなされていきます。(質の底上げ)

サービスの質?

数値化できないサービスの質を測るツールは、いったいなんだろう?評価はなんだろう?
例えば、事故件数の少ない事業所は、素晴らしい事業所か?苦情件数の少ない事業所は素晴らしい事業所か?介護福祉士が多ければ、素晴らしい事業所か?内容まで評価できないにも関わらず研修を定期的にしているから素晴らしい事業所か?介護情報公表制度で○がたくさんついている事業所は素晴らしい事業所か?

今回の法改正で加算要件が見直され、事業所は、一層の評価を受ける機会を得ることができた。これは本当に良いこと、嬉しいことです。
しかし、本当に私たちの質を評価するべきなのは誰なんだろう?
国?
都道府県?
保険者?
ケアマネさん?
事業所さん?

私は利用者さんであると考えます。

実際に利用されている人が、評価をする機会が確保されていない。
ここで、利用者が求めているニーズとの乖離が生まれ、私たちが評価を得ようとする方向性が利用者とは関係性の低い方向に向かっているように感じてなりません。
本当に利用者はそれを求めているでしょうか?

質が悪いという評価のひとつである制度に不適切な利用については、本来介護保険スタート時に、誤った解釈でサービス依頼をするケアマネさんがいて、それを当然と受ける事業所さんがいて、便利だと喜んでくれる利用者さんがいて、彼らが、当時当たり前にしていたサービスが現在の不適切な制度利用に少なからず該当しており、その当時使っていた利用者の既得権意識を正しい利用法として変えていくことに、一番苦労を感じているのも現状であります。後発で、でてきた我々が、以前のやり方はできない、といった瞬間、私たちは悪者扱いとなることもあります。

初めに戻りますが、このドラマを見て、改めて感じたことは、今後の制度は、介護に関わる自分を含めた従事者の職業倫理にかかっていると感じます。
シナリオを作成した方は、介護従事者への応援メッセージもここに含みながらも、みんなのお金という意識を持って、大切に、慎重に扱ってほしい、介護業界全体の更なる成長が必要であるという叱責も含んでいるのではと感じました。
国でも、都道府県でも、保険者でもなく、自分たちがしっかりとした倫理観をもって、仕事に臨み、利用者からの満足という評価を数値化しづらい分、ひたすら追い続ける。
そして、初めて評価を得る。

目前の利用者のために、ただ走ること。
その積み重ねが、現在の辛い介護業界の処遇改善にもつながるだろうし、社会的地位の向上にもつながると信じています。

ちなみに、市原悦子さんと原田芳雄さんの演技は必見です。
機会があればぜひご覧下さいね。

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