移動支援に対する水戸市の見解に物申します。

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久々にちょっと怒ってます。

水戸市における移動支援について考えてみます。(長文です。興味のある方だけお読みください。) みなさんは、「移動支援事業」って知っていますか?
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091252.pdf
(障害者等の意移動の支援について:厚生労働省)

対象者は、「障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者」です。 移動の目的は、「社会生活上必要不可欠な外出、社会参加のための外出」です。 支援の範囲としては、「社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際の移動を支援」です。 この「移動支援事業」は、「地域生活支援事業(裁量的経費)」という位置づけで、「地域特性や利用者のニーズ等に応じ、各市町村の判断で柔軟に実施」するものです。実施主体は市町村です。

ちなみに「個別給付(義務的経費)」という位置づけで、「居宅介護」「同行援護」「行動援護」「重度訪問介護」というものもあります。
「居宅介護」は介護保険サービスでいうところの「訪問介護」で、いわゆるお家にヘルパーさんが来てくれるサービスです。 移動の目的は、「病院への通院等のための移動介助又は官公署での公的手続若しくは障害者総合支援法に基づくサービスを受けるための相談に係る移動介助」です。
「同行援護」は、対象者が視覚障害をお持ちの方で、移動や移動中に必要な支援をお手伝いするサービスです。
「行動援護」は、対象者が重度の知的障がいや精神障害をお持ちの方で、移動や移動中に必要な支援をお手伝いするサービスです。
「重度訪問介護」は、対象者が重度の肢体不自由者、または重度の知的障がいや精神障害をお持ちの方で、お家にヘルパーさんが来てお手伝いし、ときには外出のお手伝いなどもしてくれるサービスです。「居宅介護」との違いは対象者が重い障害の方という点と、利用できる時間数が、「重度訪問介護」は「居宅介護」よりもとても多いことなどが挙げられます。 この中の「同行援護」「行動援護」「重度訪問介護」の移動の目的は、「社会生活上必要不可欠な外出、社会参加のための外出」で移動支援と同じですが、違いがあり「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」を除く、とあります。

今回は移動の目的に着目していただきたいのですが、冒頭に話した「移動支援事業」の移動の目的は、後述した4つのサービスと似ている部分もありますが、より制限の少ない比較的自由度の高いサービスということがお分かりいただけたと思います。

さて、これを踏まえたうえで、令和3年1月18日に水戸市障害福祉課から事業所宛にメールが送られてきました。そこに添付されていた資料の一部はこちらです。 https://www.mhlw.go.jp/content/000608118.pdf 「新型コロナウイルス感染症拡大防止等のための移動支援事業の取扱いについて」

こちらのQ&Aの答えで「実施主体である市町村等が必要と判断した場合には、居宅等での支援についても移動支援を実施したものと取り扱って差し支えない。」という文言があります。

この文書は、移動支援は本来、外出を支援するものですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止等のため、自宅などで外出はしないが、移動支援と同じような支援をしたときには、移動支援を実施したものと認めることができるというものです。 まさに、現在(令和3年1月30日)水戸市においても、県独自の緊急事態宣言発令中なので、不要不急の外出については自粛を求められている中で、家で気分転換やともに食事をしながら過ごすなどニーズはあるわけですが、私が気になったのは「市町村等が必要と判断した場合」という文言でした。

これについて、水戸市障害福祉課に「①必ず事前に水戸市に問い合わせなくてはならないのか?水戸市で必要か不要か判断する基準は何か?②このような問い合わせは今まであったのか?」問い合わせしたところ、以下のような回答が得られました。 「事前に問い合わせは必要。判断基準は、今までに問い合わせがないので、決めていない。しかし自宅でサービスを提供する場合は、本人ができるかどうか、家族の支援が利用できるかどうか、居宅介護が利用できるかどうかなどの検討が必要かと思われる。」

この回答を受けて、とても残念な気持ちになりました。

回答の中の「本人ができるかどうか、家族の支援が利用できるかどうか、居宅介護が利用できるかどうかなどの検討が必要」というのは、あくまで個別給付の判断内容であり、移動支援の利用目的とは異なるのです。例えば、自分で食事が摂れる方であっても、移動支援は利用できます。余暇活動も認められているのでコンサートに行くや日常生活に必要でない買物だってできるのです。このような誤った解釈であれば、移動支援の支給を受けている方達の利用できる権利を脅かす可能性があります。

また、判断基準が明確ではないというのも、裁量的経費により行われる事業としては、恐ろしいことです。判断基準がないということは、利用できませんと言われた方への説明責任を水戸市はどのように果たすつもりなのでしょうか?この添付された文書は令和2年3月13日の事務連絡です。約10か月の間、問い合わせがなかったからと言って何も考えていないという水戸市の姿勢はいかがなものでしょうか?

さらに言うならば、令和3年1月13日に事務連絡で中核市障害保健福祉主管部宛にきた事務連絡に添付されている資料を、わざわざ令和3年1月18日に各事業所へメールで送るのであれば、連絡がきたものをただ送るだけという、思考停止と言わざるを得ない業務などするべきではなく、きちんと「水戸市としてはこの事務連絡を受けて、どう考えている」という注釈を添えて事業所に送るべきではないかと思います。

私たちは、水戸市が判断基準を示せない以上、事業所からできる、できないという回答は絶対にしませんので、利用者より要望があった場合は、すべて水戸市に直接ご確認いただきたいとお話しするつもりです。移動支援事業はケアプランの位置づけがなくても利用できるサービスですので、移動支援事業所でケアプラン作成のようなアセスメントは実施できないからです。

水戸市は交通弱者にとって、市街地以外は非常に交通インフラも脆弱であり、住みづらい場所です。高齢者分野であっても、障害福祉分野であっても、地域課題に「移動」は必ず出てくる大きなテーマです。その課題で障害福祉には「移動支援」という素晴らしい制度があるのですから、水戸市は、「裁量」をしっかりと市民の立場に立って考えたうえで、判断してほしいと思います。

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